2020年4月1日~の改正民法施行
1 はじめに
2020年4月1日から、改正民法(債権法改正)が施行されます。
2 法務省のパンフレット
改正の内容は多岐に渡りますが、以下の法務省のパンフレットがよくまとまっていると思います。
http://www.moj.go.jp/content/001254263.pdf
3 企業の方がまず注意すべき点
(1)個人保証の場合に、極度額(限度額)を設定する必要があること。
企業が事業をしていく上で、個人から保証をとることがあると思います。
① 従業員が入社して、従業員の親族に身元保証人になってもらう。
② 取引先と取引基本契約を結び、取引先の代表者個人に連帯保証人になってもらう。
③ 不動産業者が、アパートやマンションを学生に貸すときに、親族に、連帯保証人になってもらう。
④ 介護施設業者が、親族に入居者の保証人や身元保証人になってもらう。
上記のような契約等を、2020年4月1日以降するときは、極度額と言って、保証の限度額を書面に記載しない限り、保証は無効となります(民法465条の2第2項)。
なお、会社等の法人が保証をする場合は、極度額を定める必要はありません。
(2)「瑕疵」から「契約不適合」に用語が変わること。
売買契約や請負契約において、不具合があることについては、民法改正前は、「瑕疵」(かし)と呼んでいましたが、2020年4月1日以降の契約については、「契約不適合」と呼ぶことになります(民法562条)。
したがって、2020年4月1日以降に締結される契約については、契約に適合しているかどうかは、契約書に記載されている目的が参考になるため、今後は、可能な限り、契約書の目的の条項(よく、第1条に規定されています。)を詳しく書くようにしましょう。
(3)賃貸借契約の原状回復
改正民法においては、賃貸物件の原状回復義務の範囲について、経年劣化、通常損耗(通常の使用及び収益によって生じた損耗。黒ずみ等)は除かれると規定されました(民法621条)。
したがって、賃貸人の方は、経年劣化や通常損耗も原状回復義務の範囲に含めたいときは、賃貸借契約において明記するようにしましょう。
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