ドラマ内の弁護士と実際の弁護士のギャップ(2)
ドラマで見る弁護士の仕事と実際の弁護士の仕事はかなり異なると思います。
そこで、少しずつ、弁護士の考え方、実際の仕事内容等について、記載したいと思います。
(5)裁判官は、弱者の味方なのか?企業は不利なのか?
裁判所は、証拠から推測される事実を認定します。裁判所は、真実を認定してくれるわけではなく、証拠から推測される事実のみを認定します。したがって、真実のことがあっても、証拠がないと、裁判所は、真実を認めてくれないことになります。
その後、裁判所は、認定した事実を、法律や法律理論に当てはめて、原告の請求を認めるかどうかの判断をします。
したがって、裁判官は、必ずしも弱者の味方というわけではなく、客観的に事実を認定し、法律を適用すると考えて頂いた方がよいと思われます。
消費者契約法のような消費者保護の法律が問題になる場合以外は、個人が相手の場合、企業が不利になるということはありません。
(6)弁護士費用は、敗訴した方が負担するのか?
日本では、弁護士費用は、各自負担が原則です。
ただし、交通事故の訴訟など、「不法行為」という類型の訴訟では、請求額の1割程度が、弁護士費用として認められることがあります。
(7)判決はどのようなものか?
判決は、主文と理由から構成されます。
主文は、お金の支払いを請求する場合は、以下のようなものが多いです。
1 被告は、原告に対し、金●円及び平成●年●月●日から支払済まで年5分の割合を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。
「訴訟費用」とは、訴状に貼った収入印紙や、証人の日当等であり、弁護士費用は含まれません。通常は、「訴訟費用」の精算はなされません。
お金の支払いの請求の場合、「この判決は、仮に執行することができる。」という条項(これを「仮執行宣言」といいます。)が付くことが多いです。この場合、被告が、判決を不服として、高等裁判所に控訴したとしても、担保金を納めて執行停止の手続をしない限り、原告は、地方裁判所の判決を使って、強制執行(預金・不動産の差押え等)ができますので、注意が必要です。
判決の理由の部分には、どうして主文の内容をとなったのかの法的な理由が記載されます。
(8)判決はどのような効力があるのか?
例えば、「被告は原告に対し、100万円を支払え。」という判決が出て、控訴等がなく判決が確定して、被告が原告に100万円を支払わなかった場合は、原告は、判決書を使って、被告の資産(預金、不動産、給料債権等)を差し押さえる(強制執行する)ことができます。
つまり、確定した判決は、原告に、強制執行する権利を与えるということになります。
したがって、被告が、確定した判決に従わず、お金を支払わなくても、被告が、例えば、刑事事件となって逮捕されるということは全くありません。
判決で勝ったとしても、被告1円も持っていなければ、原告は全くお金を回収できないことになってしまいます。
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