ドラマ内の弁護士と実際の弁護士のギャップ
ドラマで見る弁護士の仕事と実際の弁護士の仕事はかなり異なると思います。
そこで、少しずつ、弁護士の考え方、実際の仕事内容等について、記載したいと思います。
(1) 法的な紛争では何を争っているのか?
法的な紛争は、口喧嘩や論破というものではなく、法的な要件を立証し合うという、かなり、機械的なものです。
例えば、返還期限までに貸したお金が返還されず、お金を返してほしいときは、原告(請求する側)は、
①原告・被告間で返還の約束をしたこと、
②原告が実際にお金を被告に渡したこと、
③返還時期を合意したこと、
④返還時期が到来したこと、
という四つの要件を立証する必要があります。
これは、簡単に思えるかもしれませんが、②について、お金を現金で渡してしまい、領収証をもらっていない場合、お金を借りた方が、お金を受け取っていないと裁判で言えば、②を立証することはかなり難しくなります。その場合は、貸した方が裁判で負けてしまいます。
したがって、相手にお金を貸したり、支払ったりするときは、振込みが一番おすすめの方法となります。
(2) 依頼者は、裁判所に行かないといけないのか?
通常は、裁判所の期日には、弁護士のみが行きます。
しかし、和解協議の期日など、その場で依頼者の方の意向を確認した方がよいときは、依頼者の方も裁判所に来てもらうことがあります。
尋問のときは、依頼者の方や証人の方が、裁判所に行って、尋問が行われます。
依頼者の方が裁判所に行くのは、和解協議以外では、尋問のときだけのことが多いです。
(3) 裁判では、弁護士はドラマのように激しい議論をしているのか?
裁判の期日は、通常、最初の期日、尋問の期日、最後の期日は法廷で行われますが、途中の期日は、裁判所内の会議室のような小さな部屋で行われています。
弁護士同士が激しい議論をすることは稀で、期日においては、期日の前に提出した書面の確認と、論点の整理、次回期日の調整等で、10分程度で終わることが多いです。
(4) 損害の額はどのようにして決まるのか?
例えば、交通事故の場合は、休業損害、通院の慰謝料、後遺症の慰謝料等、細かく相場があり、裁判所もそれを参考にすることが多いです。
労災やその他の怪我の場合も、交通事故の相場が参考にされます。
したがって、通常の事件の損害の額は、裁判官によってあまり異なるようにはなっていないということになります。
ただし、特許事件等の特殊な事件では、裁判体によって、大きく損害の額が異なることがあり得ます。
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